2017-06

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屋久島登山の旅【5日目】縦走 - 鹿之沢小屋~永田岳~縄文杉~高塚小屋

縦走3日目。

屋久島-奥岳縦走3日目

午前4時半すぎ、満点の星空のもと鹿之沢小屋から歩き始めました。

標高が高く、空気も澄んでいるからか吸い込まれそうなほど美しい星空。
ヘッドライトの明かりだけを頼りに岩肌や崩れかけた急斜面の山道を登り、
立ち止まるたびに頭上に果てしなく広がる宙を仰いで息をのみます。

yakushima 298

夜明けまでに永田岳の山頂に立ちたいという想いと、足元しか見えない中ただただ繰り返し踏み出す歩みでペースは快調。
小屋と永田岳山頂の真ん中あたり、ローソク岩展望台まで登ると峰々の向こうの空が少しずつ紅く染まり始めました。後ろを振り返ると遠く海沿いに永田の街の灯りが見え、沖には漁船らしき橙色の灯りが浮かんでいます。
空を明るく照らすのは真っ白な三日月。

白みだした空に歩調を速めます。

yakushima 300

そしてついに永田岳の斜面を登りきると、待っていたのは雲海の絶景。
宮之浦岳が雄大に裾野を広げる向こう側で、朝日の最初の一筋が黄金色に輝いていました。

yakushima 318

いそいで永田岳の山頂、大岩の上に立ち、日が昇る様を眺めました。

それはもう、言葉では言い表せない、祈りと静寂に満ちた時間。
この瞬間(とき)のために自分はここへ来たのだと思うほどの、生命に満ち溢れかつただただ還る自然の営み。

ヒトが無になり、自然に祈りたくなる瞬間とはああいうことを言うのだと思います。

yakushima 357

どこにいても、何をしていても、
生まれてから今まで何万回と迎えてきた朝なのに
“朝を迎える”ということの有り難さと、
その当たり前さのもとにある自然の理の深遠さをこれほどまで強く想ったことはありません。

何十億年もの間、地球ではこんな“あたりまえ”でははかり尽くせないすべてを超越した自然の摂理が繰り返されてきたんですね。

そんな当然のことに、私はあらためて気づきました。

yakushima2 166

永田岳で朝日に染まっていく屋久の深い森を眺めながら朝ごはんを食べた私たちは一路山を下り縄文杉方面へ。
今日は午後から雨になると聞いていたので、少し急ぎめで歩きます。

yakushima2 191 yakushima2 193

早めのペースが功を奏し、当初今日の目的地に予定していた新高塚小屋へ到着したのは午前10時半。
ゆっくり休憩をとってお昼ごはんを食べ、さらに足を伸ばして今日は高塚小屋に泊まることにしました。
(そうすると今日の夕方と明日の朝の二回、縄文杉に逢うことができます。体力がまだまだ残っていたことと、明日の朝は雨でゆっくり縄文杉を見れないかもしれないこと、それに雨天で明日長い道程を歩かなきゃいけないことから梅ちゃんと相談して決定。)

yakushima 393

午後2時頃には高塚小屋に到着しました。
前回来た時よりも小屋の周辺がかなり整備されていてびっくり。
多くの登山者が訪れる影響で小屋の周囲のヒメシャラなどの樹やその根が痛んでしまったため、生態系を保全するための取り組みがなされているそうです。

ひっそりと数千年の時を重ねてきたこの深い深い森の中に私たち人間が“お邪魔させてもらっている”ということ、そしてできる限りこの豊かで緻密な生態系に影響を与えず山を歩きたい、と改めて思います。

小屋の中に荷物を置き、お茶セットと山尾三省の詩集を片手にいざ縄文杉へ。

yakushima 375

三度目に逢う縄文杉も、変わらずどっしりと土に根を張り力強く時を刻み続けていました。

縄文時代、狩猟採集の営みで森と共に人間が生きていた太古の昔、
この深い森の中で芽吹いた小さな小さな杉が
こんなにりっぱな大樹になるまでの何千年という時間は、
本当に私なんかには果てしなく、想像も及ばなくて…

たくさんの他の植物をも宿したこの古老の杉の姿を前に、言葉は出ません。

yakushima 398 yakushima 418

日帰り登山で縄文杉に逢いに来た人たちの姿もなくなり、私たちはあったかいお茶を飲んでじっくりゆっくり縄文杉のもとにいることができました。
あたりの空気が冷たくなってくると高塚小屋へ戻り、少し防寒着を着込んでから今度は小屋の近くで山尾三省の詩集を開く。
荷物はちょっと重くなったけど、この詩集を持ってきてよかった。

山尾三省さんは屋久島で暮らした詩人です。(Link→ 山尾三省さんの紹介
彼が縄文杉を讃えた詩をご紹介します。

yakushima 448

聖老人

屋久島の山中に一人の聖老人が立っている
齢およそ七千二百年という
ごわごわしたその肌に手を触れると
遠く深い神聖の気が沁み込んでくる
聖老人
あなたは この土地に生を受けて以来 ただのひとことも語らず
ただの一歩も動かず そこに立っておられた
それは苦行神シヴァの千年至福の瞑想の姿に似ていながら
苦行とも至福ともかかわりのないものとしてそこにあった
ただ そこにあるだけであった
あなたの体には幾十本もの樹木が生い茂り あなたを大地とみなしているが
あなたはそれを自然の出来事としてながめている
あなたのごわごわとした肌に耳をつけ せめて命の液の流れる音を聴こうとするが
あなたはただそこにあるだけ
無言で一切を語らない
聖老人
昔 人々が悪というものを知らず 人々の間に善が支配していたころ
人間の寿命は千年を数えることが出来たと 私は聞く
そのころは人々は神の如くに光り輝き 神々と共に語り合ったという
やがて人々の間に悪がしのびこみ それと同時に人間の寿命はどんどん短くなった
それでもついこの間までは まだ三百年五百年を数える人が生きていたという
今はそれもなくなった
この鉄の時代には 人間の寿命は百歳を限りとするようになった
昔 人々の間に善が支配し 人々が神と共に語り合っていたころのことを
聖老人
わたくしは あなたを尋ねたかった
けれども あなたはただそこに静かな喜びとしてあるだけ
無言で一切を語らなかった
わたくしが知ったのは
あなたがそこにあり そして生きている ということだけだった
そこにあり 生きているということ
生きていること
聖老人
あなたの足元の大地から 幾すじもの清らかな水が沁み出していました
それはあなたの 唯一の現された心のようでありました
その水を両手ですくい わたくしは聖なるものとして飲みました
わたくしは思い出しました
法句経 九十八
 村落においても また森林においても
 低地においても また平地においても
 拝むに足る人の住するところ その土地は楽しい
法句経 九十九
 森林は楽しい 世人が楽しまないところで 貧欲を離れた人は楽しむであろう
 かれは欲楽を求めないからである
 森林は楽しい 拝むに足る人の住するところ その土地は楽しい
聖老人
あなたが黙して語らぬ故に
わたくしは あなたの森に住む 罪知らぬひとりの百姓になって
鈴振り あなたを讃える歌をうたう

                    
 山尾三省 1978年

yakushima 466

夕方6時半頃、いよいよ森中にガスがたちこめ木々の葉から雫がふってきました。
森はうす青白い世界になっていきます。
畏れるべき夜の闇の世界、私たち人間は眠りにつく時間です。

あぁ、長いと思ってた森での四日間も明日でおしまい。
なんてあっという間。
本当に山から出たくない。

自然の中には、人間が生かされていることの幸せが詰まっています。
ただただここに居られるだけでこんなにも心の底から満たされて幸せです。











   
     
   





        
    
















   

    
    
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